日本特有の "四季 (SHIKI)"
移ろいゆく四季を、漢字とともに感じてください。
-いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほいぬるかな-
いにしえの昔の、奈良の都の八重桜が、今日は九重の宮中で、ひときわ美しく咲き誇っております。
伊勢大輔 (61番) 『詞花集』春・29
-ほととぎす 泣きつる方を 眺むれば ただ有明の 月ぞ残れる-
ホトトギスが鳴いた方を眺めやれば、
ホトトギスの姿は見えず、ただ明け方の月が淡く空に残っているばかりだった。
後徳大寺左大臣(81番) 『千載集』夏・161
-この旅は 幣も取りあへず 手向山 もみじの錦 神のまにまに-
今度の旅は急のことで、道祖神に捧げる幣(ぬさ)も用意することができませんでした。
手向けの山の紅葉を捧げるので、神よ御心のままにお受け取りください。
菅家(24番) 『古今集』羈旅・420
-かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける-
七夕の日、牽牛と織姫を逢わせるために、かささぎが翼を連ねて渡したという橋ーー
天の川にちらばる霜のようにさえざえとした星の群れの白さを見ていると、
夜もふけたのだなあと感じてしまうよ。
中納言家持(6番) 『新古今集』冬・620